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Jonas/ジョナスのRのレビュー・感想・評価

Jonas/ジョナス(2018年製作の映画)
4.5
僕がフォローしてるとある方のレビューを読んで面白そうだなと思いつつ見てなかったやつをふと思い出して見てみました。んー! おもしろい! 冒頭、車の中でテトリスしてるムスッとした少年が、うまくテトリス組み合わせれなくて、ゲームボーイどーん放り投げてイライラしてる 。まさか学生のしょうもない反抗期ストーリーを見せられるのではあるまいな、大丈夫かな、と思ってたけどミステリアスな展開に少しずつ、少しずつ吸い込まれ、気づけば、夢中で食い入るように見てました。いやー、やられた。急にドキッ!とするビックリなオープニングのあと、ゲイクラブで乱闘騒ぎを起こしたやさぐれ青年が警察に連行されて事情聴取、お家に帰ったらめちゃくちゃ優しそうな彼氏に、もうお前の浮気にはウンザリだ出て行け!と見放され、どないしてんこの青年、とおもてたら、彼の名がタイトルのジョナス君。で、さっきのゲームボーイの少年がまた出て来て、この子が青年ジョナスの中学時代だと分かる。少年期の彼は爽やかでキュートでスウィートなトウィンク。いやいや、いくら心の目で見ても、そりゃ人相変わり過ぎってもんや! 同一人物って気づかんわ! と思いつつ、少年ジョナス君の秘密の初恋、転校生ナタンとの想い出が描かれていくのを、親のような気持ちで見守っておりました。特に、ふたりで授業を抜け出して、体育館でタバコをふかす〇〇シーンは、うおっ、そんなやり方があったとは!とドキドキしながら鑑賞。すごくイイですねー。最初は変な顔だなぁと思ってたナタン君も、だんだん色気のあるアブナイ魅力がクセになってくる。あと気になったのが、中学時代のシーンで、ダイアナ妃が死んだニュースが流れてたこと。ダイアナの死が1997年てことは、ジョナス君は1983〜1985年くらいの生まれやから、現実時間で考えると今30代後半かー、とか考えながら見てて、なるほど、今でこそフランスは世界的に見てトップクラスにリベラルな国だが、この頃は同性愛に対する不寛容が存在してたんだなー、と社会的視点も加わってくる。それに関連して面白かったのが、授業を抜け出して体育館に行くために、教室を出て行くふたりに向かって、意地悪そうにフェラの仕草を真似る少年に、ナタン君が不敵に微笑むシーン。フェラ少年の一瞬の心の動揺を、目の動きだけでとらえる見事なショット! ホモフォビアの根底にあるセキュリティの揺らぎ! それを一瞬でとらえる。スゴ! 一方、大人のジョナスは病院のポーターとして働いてて、これから手術に行く老人のベッドを押して廊下を進んでいると、老人が、お前には分からんだろうが年を取るのは最悪だぞ、と言ってるシーンも心に残る。普通に生きて、普通に老いて、普通に病気で起き上がれなくなったときの老人の思いがこれなのは重い。そして、なぜあんなうぶでキラキラしてた少年ジョナスが、こんなやさぐれた別人になってしまったのか、その謎が過去と現在を行き来しながら描かれていく。ミステリーが謎を深めながら、真実が少しずつ明らかになっていくプロセスがすごくスリリング。さっきまで漠然と見ていた何気ない日常シーンが、伏線としてスルスル回収されていく。僕の好きな要素がてんこ盛りすぎて、前のめりでガン見していたのですが、やめてくれーーーこのささやかな幸福を無残な悲劇へと展開させないでくれーーーとの祈りが、too lateになってしまったと悟るその瞬間、流れ始めた曲!!! 全身に衝撃が!!! 僕が大学の時にフランス語を勉強するキッカケになった仲の良かった友だちが、よく聞き、口ずさんでいた曲が流れ始めたのである!!! あまりの懐かしさに息が止まった!うわーーーー!!!って声出してもーた。 個人的な話やけど、あまりにも懐かしく彼女のことを思い出したもんだから、自分の過去の記憶と結びついて、忘れられないシーンとなった! ちなみにその曲はElsaのT’en va pasであるというのをエンドクレジットにて知り、現在オンリピート中。まぁそれは置いといて。この後の展開があまりにショッキングで、激ヘコミしてしまった。キツい。からの、あのラスト。マジですか。そこで終わりますか。悲しすぎる。けど、ずっと悲しいままではいられない。悲しみを抱いたままでもいい。誰かと繋がって生きていく。その前進に、深く深く感動した。と、まぁ今んとこ大絶賛の語調やけど、少々のマイナスポイントとしては、映像と音楽が多少安っぽいとこ。あとで調べてみると、なるほど、本作はフランスのテレビ映画として作られたものらしい。だからちょいちょいテレビ感があったんだなー。でもテレビ映画でこの面白さはすごい。そして、全編見終わったあと、もう一回最初から20分ほど見てみるとさらに面白い!!!😲 これはもうひと通り見ろということか?
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