新年一発目にして今年ベスト級のきちゃった。ジャンル分け不能な展開、静かで緊張感に満ちた画面に目が離せなかった。
彼女が物を飲み込むのは話を遮られたとき、子供を産む道具としか見られなかっとき、自分を否定されたとき…
治療は一向に効かないのはそれもそのはず、原因は別にあったから。彼女の過去をめぐる闇に初めて向き合ったとき、「自分が自分であること」を認め肯定できる。
恐ろしく狂気に満ちた画面がとても美しくセンスがあるし、アドバイザーもついたという異食症の描写もリアリティがある。
監督自身男性として生まれたが女性として数年間生き、更に今はどちらでもない性として生きている方らしい。自分のアイデンティティの獲得というのは監督自身のテーマでもあるのだろう。
ラストシーン、彼女の選択には賛否両論あれど、「決めるのは全て私」なのだと自信を持った彼女は素敵だった。例え何もかも失ったとしても自分自身として生きる以上に幸せなことがあるだろうか。
まさかこんな生きることの本質を教えられる作品だと思わなかった。素晴らしかった。