Kanila

Swallow/スワロウのKanilaのネタバレレビュー・内容・結末

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

異食症という手法を用いた秀逸さよ。
何よりヘイリー・ベネットが素晴らしい!
ぜひ夫婦で見て意見交換してほしい作品。
(亭主関白旦那試写会とかやって見せてやりたい。まだ観れていないキム・ジヨンとかもこの類かな。) 

監督の祖母のエピソードが本作を描くきっかけになったということだか、異食症というテーマはそれはそれはショッキングでとても見応えがあった。
思わず喉(食道)を押さえずにはいられないシーンが盛り沢山。
待って、画鋲が出てきたということはあそこを通って、、いや、もう考えたくない。
パラサイトは映像から嗅覚を感じられる映画だったが、本作は触覚を強く感じられる映像でそこも面白い要素だった。
(ハンターがASMRで遊ぶコンテンツ作って欲しかった!笑)
 
自分が間違った人間だと知られないように、義父母の期待に応えて失敗しないように、常にまわりの目を気にしながら極度のストレスを背負ったハンターは、自分が受け入れられないにも関わらず、さらにそこに完璧な自分を作り出そうとし、その結果自分の存在意義がわからなくなっていったのだろう。
自分自身が一番自分を受け入れられない、ハンターにとって自分の身体が1番の異物だったのだろうと思うと、すごく辛くなった。
抑圧という名の異物を飲み込むことで自分の存在を肯定しようとしていたのだろう。
ビー玉を口にした後のあの高揚感がなんとも悍ましく、悲しかった。
異食症が発覚した後、変わり者でごめんと夫に謝るハンターがまた泣ける。
謝る必要はないんだよ、、ハンター。。

ラスト、自分の存在をようやく肯定することができた時、抱えていた抑圧を文字通り“吐き流し“、再出発する姿はとても清々しく応援したくなった。

赤と青、相反するこの2色遣いがとても印象的な本作の映像もさることながら、自身も母となり、母としての強さを兼ね備えたヘイリー・ベネットがとてつもなく美しかった。
髪を触る癖を筆頭に、ゲーム中の異常な表情、お菓子の大食い、頭でどんどん窓を叩くなど、精神を患っている者の演技がとてもナチュラルで素晴らしかった。

『ラブソングができるまで』でブリトニー・スピアーズを彷彿とさせるぶっ飛んだアイドル歌手を演じていた時からヘイリー・ベネットの魅力に取り憑かれていたが、本作でさらに彼女のファンになった。
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