TaiRa

Swallow/スワロウのTaiRaのレビュー・感想・評価

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
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平山夢明がしてたこんにゃくの話を思い出してちょっとウケた。

裕福な主婦の神経症スリラーかと思ったらそういう類ではなかった。自己決定権についてのストレートなエンパワーメント映画。金持ち男のトロフィーワイフとして事実上飼われてる女性が異食症になって行く過程は、それこそポランスキーとかに近いテイスト。同時にガスライティング映画(『ガス燈』的な)というかモラハラ夫からの独立を描く作品で、去年の『透明人間』とも共鳴する。美しいカラーコーディネイトやシンメトリックな構図など、統率された型に押し込められた主人公はさながらお人形の様である。それを踏み超える瞬間の、自我を持った瞬間の手持ちカメラなど手法が分かりやすい。赤と青の使い方は示唆的。冒頭では紫を着ている。ヘイリー・ベネットの子供の様なイノセントを感じさせる造形も作品テイストにマッチ。カリカチュアされた悪い夫はチープにも感じた。『透明人間』みたいなモンスターに振り切っていればまだしも。暇を持て余した人間が無意味なパズルゲームやってる様を映画で見たのは初めてかも。スマホのペコペコした操作音の阿呆らしさも印象的。飲み込みと排泄、嘔吐にそれぞれ象徴的な意味を与え、その結果としてラストをあの場所に持ってくる。意味付けが露骨で手慣れていない感じはしたが、そういうストレートさがそれなりに魅力にはなってる。
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