こみかづ

Swallow/スワロウのこみかづのネタバレレビュー・内容・結末

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

主人公の女性(ハンター)が、冒頭初めてスクリーンに映し出され、何かドリンクを「ゴクリ」と飲むというシーンだけで、映画の設定を知ってる側は、ついニヤリとしてしまう。

ハンターの夫はバリバリのビジネスマンで、自分なりにハンターをとても愛しており、開始序盤は裕福な家庭で良いなぁと思いながら鑑賞するも、夫とその両親の心無い扱いがハンターの精神に圧力をかける。夫を悪く写そうとするシーンではスクリーンの右側に夫を配置し、少しでも印象付けようという配慮が映画ファンとしては心地よい。

ハンターはそんな圧力を緩和するべく取った行動とは、ビー玉を飲み込んでみるというものだった。
劇中で色んなものを飲み込むハンターだが、飲み込んだら危険なものもあり、観ているこちら側もしかめっ面になるほど痛々しい気持ちになるのだが、その気持ちがハンターの内面を追体験しているかのようで、ここも素晴らしいと思う。

プライバシーも何も無いハンターは終盤いよいよ家を抜け出すのだが、抜け出してから行き着く先、そして彼女が最後に飲み込むものにカタルシスを感じ鳥肌が立った。エンドロールも素晴らしい!

自分としてはあまり馴染みのない「異食症」を扱うところから、観る前は気を衒った映画なのかと思いきや、発症する原因などとても説得力があり「1人の女性が自由に生きていくには」という深いテーマだというところに気持ちが落ち着いた点は、昨年観た「透明人間」にも通づるところがある。劇場で観れてとても良かった1本です。
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