アキラナウェイ

Swallow/スワロウのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
4.3
ヘイリー・ベネットって、ジェニファー・ローレンスに似ているなぁって、ずっと思っていて。ジェニファーの方が先に世に出たので、失礼ながら、

本家ジェニファー
分家ヘイリー

…ぐらいに思っていたんだけど、本家を脅かす程の作品キタんじゃないのこれ。

ニューヨーク。大企業の御曹司リッチー(オースティン・ストウェル)の妻ハンター(ヘイリー・ベネット)は何不自由ない暮らしをしていたが、夫から対等に扱われない事に不満を募らせていた。ある日、ハンターは衝動に駆られ、ビー玉を口に含み、飲み込んでしまう—— 。

異食症。

栄養価の無いものを無性に食べたくなる症候。食する対象は土・紙・粘土・毛・木炭・チョーク・氷等。小児と大人の妊婦に多い。

実際、劇中のハンターも妊娠が発覚してからも、その欲望は止まらない。

ビー玉
安全ピン

電池

お、おう…。
電池もいくか。電池、ヤバいな。

堪らなく異物を欲しているハンターの蕩けそうな眼差しと、飲み込んだ後の恍惚とした表情が俊逸。

ハンターが内面に積み重ねていくストレスの描き方も上手い。

義母の小さな嫌みを
飲み込んで
夫が自分を見下す言葉を
噛み砕いて
彼女の内なる自分が少しずつ傷付いていくのがわかる。

ベストショットは、ベッドに土を広げて、TVを眺めながら子供の様にその土を頬張るハンターを捉えたシーン。何なら可愛くてキュンキュンくるんだけど。

禁じられるから抑えられなくなる。
只でさえ抑圧されてきた妻の衝動は膨れ上がり、監視の目を盗み、トイレに篭ってはまた何かを食べてしまう。

異物を食すという行為や、排泄物から異物を回収する行為は、ある種汚い事と捉えがちだけど、この作品の持つ美しさは何なんだ。

ヘイリーの美しさは当然の事、子供部屋の窓を赤や青のセロハンで飾り付け、映し出す色彩までも美しい。

1人の女性が
長らく抱えてきた葛藤に
真っ向から対峙し、
晴れやかに歩き出すまでの物語。

病気だからと叱りつけて力で抑え込むのではなく、先ずは向き合って、話を聞いて、共感しなくては。

ヘイリー・ベネットの好きバロメーター爆上げ。

好きです。
今度、土でも一緒に如何ですか?
いい花壇があるんですよ。