ゼロ

Swallow/スワロウのゼロのレビュー・感想・評価

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
3.3
“欲望”をのみこんでゆくー。

ヘイリー・ベネット氏が主演を務めるホラー映画。食べ物以外の物体を飲み込み続ける「異食症」となった新婚の妊婦を描いています。

観ていて、ぞわぞわとする作品でした。ヘイリー・ベネット氏が演じるハンター・コンラッドは、大企業の御曹司と結婚し、いわゆる玉の輿に乗る状況でありました。素敵な旦那を見つけ、自宅で自由な時間を過ごし、これから生まれてくる我が子に愛を育む。そういう温かいドラマにはなりませんでした。

表題になっているswallowが「飲み込む」という意味の通り、本作の彼女はビー玉や画鋲や乾電池などあらゆるものを飲み込んでいきます。なぜ、飲み込むのか?の解は、結婚したことがストレスとなり、自傷行為をしているから。誰も彼女のことは見ていないのは、可哀そうだった。本人は、ストレスすらも「飲み込む」ので、周りにいる人は、彼女の行動が理解できない。

結構痛々しく、変態チックなのですが、ヘイリー・ベネット氏の可憐さもあり、最後まで観れるものとなっていました。

中盤から彼女にスポットが浴び、彼女の出生の秘密などが明かされるのですが、それは公にできないことであり、対決することで相手の人生を壊すことになる。ただその対決で彼女は「自由」を手に入れることができました。

終盤は、精神が不安定になり、ホテルで土を食いながら映画を観ているのですが、背景を知ってしまうと、驚かない自分がいることに驚きです。オチは、もう自分ではない「異物」を取り除いていて、最高にクレイジーでした。

自分の人生は自分が決める。そういうメッセージがある作品でした。
ゼロ

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