こつぶライダー

Swallow/スワロウのこつぶライダーのレビュー・感想・評価

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
3.2
飲み込んだ後は、出さないとね。

異食症を扱っているということで、職業柄気になっていた作品。
静かに進行する展開はスリラー感が満載だが、それほど大きな動きがないままラストを迎える。物足りなさを感じてしまったためスコアは低めだが、作品のテーマ性だったり、主人公を演じたヘイリー・ベネットの苦痛の表現には驚いた。

まず、ハンターの異食症になるプロセスに説得力があった。
玉の輿に乗ったハンターは何不自由ない生活を送りながらも、夫の愛を感じ取れずにいる。夫を支えよう、義両親や周囲からの期待に応えようとするあまりに、自分を保とうと必死にしがみついていく姿に胸が痛んだ。
そして、異食症となっていくのだが、その背景には彼女が生まれたときの事情が影響していたのである。
つまり、第二にそもそもの彼女のアイデンティティ形成に闇を抱えており、それが結婚生活や妊娠により刺激されて膨れ上がった形になったのだった。

あまり説明がないまま進む中で、ベネットの表情や動きによって彼女の複雑な心情を観客が読み取れるかが鍵となっている。
彼女は十分に輝き、女性の尊厳だったり、自分自身の解放について表現したと思う。

ただ、どうしてもパッとしない展開とラストで、パンチ不足は否めず。やはり、この手の作品は初めの設定が独り歩きして期待値を高めてしまうため、それを超えるだけのドタバタ劇だったりラストの裏切りが重要になる中で、あまりにも動きの少ない内容になっていたため面白さに欠けたのかも。

テーマ的には90年代あたりでやれた内容で、古かったかな。
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