福福吉吉

Swallow/スワロウの福福吉吉のレビュー・感想・評価

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
4.0
◆あらすじ◆
ハンターは大企業の御曹司のリッチーと結婚し、裕福な生活を手に入れるが、リッチーやその両親から疎外感を覚えていた。ハンターは妊娠し、リッチーらは喜ぶが所有物のような扱いを受けるハンターは孤独感に苛まれる。そんな中、ハンターはガラス玉を飲み込みたい衝動にかられ、実践してしまう。ハンターは精神的な充足感に満たされ、異物を飲み込むことにとりつかれていく。

◆感想◆
外見上は満たされていても、内面で孤独に苦しむ新婚の妻が異食症を発症し、それにより追い詰められていく姿を描いており、妻が抱える孤独感の重さがその雰囲気からしっかり伝わってきて、観ていて心苦しく感じました。

主人公のハンター(ヘイリー・ベネット)は誰もがうらやむような結婚をして裕福な暮らしを手に入れますが、夫のリッチーや義父母は自分たちの世界から出てこず、一人相手にされず孤独に苦しむハンターの姿は最初はあまり理解できない部分がありました。なんやかんや言って裕福な暮らしは羨ましいと感じてしまいます。しかし、映像として彼女の生活が積み重なっていくにつれ、彼女の辛さが心に刺さるようになっていきました。

そして、異物を飲み込みたいという未知の衝動に突き動かされてハンターは異物を中毒的に飲み込むようになるのですが、「異物症」という病気があることを知らなかったので、どうしても「なぜ?」という気持ちが生まれてしまいます。しかし、その後の夫リッチーたちの動きが非常に陰湿だったので、彼女が異物症になっても仕方ないと思い直しました。リッチーや義父母にとってハンターは所有物であって、家族ではないのだと実感しました。妻の病気を言いふらしたり、医師から妻の言ったことを報告させたりと人として見ていないリッチーたちの家族になりたくないと思いました。

ストーリー途中からハンターはリッチーのもとから逃げるのですが、そこで彼女が選んだ選択肢に驚きました。彼女の過去から考えてその人のもとへ行こうとした彼女の切羽詰まった心境が強く伝わってきました。

未だに嫁入りという言葉が存在し、夫か妻かどちらかの家族に入るという風習が残っている現在において、ハンターの姿は珍しいことではないのかもしれないと思いました。最後まで興味深く観ることができました。

鑑賞日:2024年4月6日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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