ぶみ

お名前はアドルフ?のぶみのレビュー・感想・評価

お名前はアドルフ?(2018年製作の映画)
3.5
今夜は「真実」を召し上がれ。

アレクサンドル・ド・ラ・パトリエール、マチュー・デラポルトによるフランスの舞台劇を原作とし、ゼーンケ・ヴォルトマン監督、フロリアン・ダーヴィト・フィッツ、クリストフ=マリア・ヘルプスト、ユストゥフ・フォン・ドホナーニ、カロリーネ・ペータース、ヤニーナ・ウーゼ、イリス・ベルベン等の共演により映像化したドイツ製作のドラマ。
生まれてくる子どもの名前を「アドルフ」にしようとしたことから巻き起こる騒動を描く。
文学教授のステファンとその妻エリザベト、エリザベトの弟トーマスとその恋人アンナ、エリザベトの親友レネがステファンの家に一堂に会したディナーの場で物語は展開、基本的な登場人物はその五人と、離れて住むエリザベトの母ドロテアの計六人。
食事中におけるワンシチュエーションものと言えば、韓国や日本でもリメイクされたパオロ・ジェノヴェーゼ監督『おとなの事情』を彷彿とさせる設定。
『おとなの事情』がスマホをテーマにしていたのに対し、本作はドイツでは事実上タブーとされている「アドルフ」という命名をきっかけに巻き起こる騒動を描いているが、原作が舞台劇であることから会話劇中心であり、人数や設定こそ違えど、ブラックジョークを随所に入れながら、あれよあれよと言う間にあらぬ方向に展開し、落とし所が見えないのも共通点で、これはこれで面白い仕上がり。
名付けという子どもに対して最初にして最大のプレゼントを真剣に議論した結果の舌戦に目を離せず、誰に加担したら良いのかわからなくなる一作。

左脳が停止すれば、右脳がカギを見つけてくれる。
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