Sari

アンナ・カリーナ 君はおぼえているかいのSariのレビュー・感想・評価

4.0
2020/06/24 センチュリーシネマ

今日はコロナ解除後初の映画館へ行き、
昨年12月に亡くなった、フランスのヌーベル・ヴァーグを代表する女優アンナ・カリーナの映像アンソロジーを鑑賞しました。

アンナの訃報を知ってから半年が経ちますが、
私の中で今でもあのゴダールのミューズ時代の彼女のまま時が止まっているような感覚で、ひとことで言えば浮世離れした存在で実感が湧きませんでした。

初めて観た「気狂いピエロ」。
十代の多感な時期で衝撃を受けたのは今も覚えています。
その後「小さな兵隊」「女は女である」「はなればなれに」「アルファヴィル」など
ゴダール特集上映と聞けば、映画館に駆けつけて殆どの作品を観てきました。
中でも特に
「女と男のいる舗道」のアンナはアイコンにしているくらい、アンナが一番美しく撮られていると思う大好きな作品です。


アンナはデンマークで生まれ不幸な少女時代を送り、その後10代で単身でパリへ渡るとスカウトされモデル活動を始めます。
モデル時代に出演した石鹸のCMでゴダールの目に止まるのですが、
ゴダールが一目惚れするほど、無名時代の彼女もまだ垢抜けないがハッとするほどの美しさでした。
アンナに手紙で愛を告白した馴れ初めなどが聞けた事、ファンとしてはゴダールの恋愛に奥手で純粋な一面が知れて嬉しかったですが、
自分の映画に一切の妥協を許さず(アドリブなんてもってのほか、台詞も全てが計算し尽くされたものでひと言も変える事を許さないほどの)厳しい完璧主義者だったゴダール、そして彼に応えようと相当な努力家でもあったアンナ。
ゴダールは偏屈で気難しそうな性格なので、彼女の苦労は相当なものだったでしょう。

まだまだ描き足りないのですが、

ゴダール監督以外の彼女の女優活動、監督業、歌手活動などにも触れており、晩年のインタヴュー映像を交えた素敵なドキュメンタリーでした。
何よりアンナの晩年のパートナーであったデニス・ベリー監督の彼女への感謝と愛が感じられて素晴らしかったです。

スクリーンで永遠に輝き続けるアンナに、私の中で永遠に生き続けるアンナに、今夜改めて追悼の意味を込めて…
Sari

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