抹茶マラカス

蒲田前奏曲の抹茶マラカスのレビュー・感想・評価

蒲田前奏曲(2020年製作の映画)
3.4
1人の女優をテーマに4つのオムニバス短編の映画。
1本目、中川龍太郎監督作品はマチ子の紹介と弟にできた彼女に対する嫉妬、彼女と言う人間の底意地の悪さを炙り出す。
2本目、穐山茉由監督作品は大学の同期との集まり。なんでも話してるよね、なーんて言いつつ心の底で見下しあってる5人。さすが、伊藤沙莉が抜群に飛び出してくる中で、中間とも浮いた位置とも言えるところからこの年代の女性が直面するものを浮かび上がらせる。
3本目、安川有果監督作品は辛辣。MeTooを題材にした映画製作のオーディションがかえってセクハラじみている業界に対する批判というか、流行ってるから乗っかるだけで本当には考えてないやつへの鉄槌でもある。
4本目、渡辺紘文監督作品は異質というか。オムニバス映画でその構造を自己言及的に否定しつつ、それがしっかり作品の色になっているという不思議。マチ子の不在が周縁をなぞりながら描くことでもあり、結果的にこれはその前の3編への批評にもなっている。だいたい、どう見ても演技素人がたくさんカメラを向けられて長回しされているのにこの画面の持ち方は一体なんなんだ