にくそん

ハッピー・オールド・イヤーのにくそんのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

『バッド・ジーニアス』がのっけからインパクトの強い展開だったのに比べると、思ったより地味な映画なのかもと思った、特に序盤は。でも、主人公のジーンが断捨離を進めるなかで、勝手に“過去”にしてきた人たちと向き合うことになって、ジーンのことが、性格やものの考え方や美点や欠点含め分かってきて、どんどん味わい深くなっていく。

結局、父親のことで傷つくのをもうやめたい、元恋人に謝ってすっきりしたい、の大きく二つが断捨離の理由だったのかな。デザイナーとして自分の作風に合った事務所が必要で、それを取引先に見せる関係で期日があって、っていうのは彼女が自分のために用意した言い訳というか。断捨離を決行するための動機付けだったんだろうと思う。

元恋人のエムとエムが今付き合っているミーとのドラマは、なんか坂元裕二的だった。好きだったからこそねじくれていく三人。荷物の受取拒否とか、再会時の笑顔とか、手作りスープとか、Tシャツとか、だんだんいろいろ分かってくるのが面白かった。じたばたする三人や怒鳴り散らす母親の横でお兄ちゃんがひとり静かなまま優しいので、どんどんイケメンに見えてくる。何このマジカル兄。

終わり方よかったな。お母さんが朗らかにしている描写とか、エムに許される描写とか、安易にぶち込まれたら絶対嫌だった。デザイナー設定なので、ホテルとかエムの部屋とか憧れの部屋の写真とかがおしゃれ。あのホテル、泊まりたいなあ。
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