こちらも退屈な日々から目を背けるために映画なんてものに時間を割いているのだからもっと陰茎と睾丸にガツンと響くような表現で勝負してほしい。コーエン兄弟っぽいオフビートな犯罪劇。クラーク・デュークの初監督、引用セリフだらけで小賢しい、俳優が監督すると役者をまず一番に見せようとする。二つの軸を交互に描いているだけなのに章仕立てにして格好つけている場合じゃない。暴力のヴィンス・ヴォーンは最高だろ、それが分かっているのにぽっと出の若造二人に裏かかれるような閉じ方は映画が軽く弱く見えてしまう。物語をなぞるんじゃない、物語を表現者が上書きしていくのが「映画」。