ファストファッションの裏側にひそむ過酷な労働問題と貧困に女性の人権問題が絡んで、バングラデシュの暗部ばかりが目立つというのに、あまり暗澹とした感じを与えないのは、意外にも女たちが男たちに対してかなり強気に物申せているからだろうか。工場の男にも、夫にも、食ってかかり、「アイツ一瞬萎えてたよねー」とゲラゲラ笑い合う一体感と、理不尽な目に合うのは女だけという現実がめちゃくちゃアンバランスだった。
このねじれ現象の根源にあるのがイスラムの教えであるとすれば、彼女たちが真に権利を勝ち取ることは相当困難に違いないし、正攻法ではとても太刀打ちはできない。それでもまずはスタートラインに立つことが大事なのだということを、最後の彼女の強い視線が物語っていた。
シムに声をかけた権利団体は、簡単に組合が作れないことは百も承知だったと思うのだけど、やるだけやらせといてフォロー無しな感じがかなりモヤる。