さく

ザ・ビートルズ:Get Backのさくのレビュー・感想・評価

ザ・ビートルズ:Get Back(2021年製作の映画)
5.0
これのためにDisney+に加入しました。放課後ティータイム…ではなくてビートルズ。大長編のためレビューも三つに分けて書いていきます。勉強不足でかなり勝手な思い込みもあると思いますが、ダラダラと書いていきます。

パート1
何となくこの時期のビートルズって、オノヨーコの存在によってジョンと他のメンバーとの溝が広がり、一方でバンドの方はポールの独裁になり…みたいなイメージをボンヤリと持っていたのですが、「1を見ている段階では」どうも違うイメージ。

ヨーコは確かに「何でいつもそこに居るねん(エセ関西弁)」とは思いながらも、変に出しゃばったりはせずに、まさに「そこに居るだけ」。ジョン以外のメンバーとコミュニケーションを取らないのは気になるところではあるが、裏ではどうか知らんけど本作(パート1時点)を見る限りでは、そんなにバンドに悪影響を及ぼしているようにも見えない。そんなことは無かったのがパート2の冒頭から明らかになるが…

一方、大変なのはポールで、天下のビートルズのポールマッカートニーなのに、プロジェクトを任された中堅サラリーマンのような立ち位置に思わず、しがない中間管理職の私も「ポール…わかるよ」と共感してしまいました。プロジェクトの期日は決まっているのに、中々前に転ばす人がいない…別にリーダーみたいなことはやりたくないけど、責任感からやむを得ず前に転がそうとするポール係長…。かつてこの部署に起立をもたらしていたエプスタイン部長は異動でいなくなってしまった。

しかし、そうなると文句を言ってくる最近メキメキと頭角を表してきた若手のジョージ主任。

ジョン課長は能力は圧倒的に高いけれど、課長のくせにチームをまとめようとかプロジェクトを成功させようという責任感は薄く、言えば動くが言わないと動いてくれない。「きみに任せたよポールくん」。職場に彼女を連れてきたりして規律もクソもあったもんじゃない。

リンゴさんは仕事は丁寧だし人としても人格者で尊敬されるタイプだけど、出世欲が微塵もなく万年平社員。プロジェクトを引っ張るようなアイデアを出したり自ら先頭に立って頑張るようなタイプではない…頑張れポール係長! 負けるなポール係長!

閑話休題。

ジョージはジョージで優れたミュージシャンであるけれど、ポールとジョンという不世出の圧倒的な天才二人がバンドには君臨している。自分のやりたいことはあるけれど、ポールの才能を前にしては自分の意見も中々通らず、フラストレーションを溜め込んでいる。バンドの外にはクラプトンというまた自分を凌駕する圧倒的才能が居て、これにも嫉妬していて、何かプロスポーツ選手になったけれど中々目が出ずに腐ってしまいかけの若手選手かのよう。そして脱退…

ジョンはもっと小難しい感じなのかと思い込んでいたけれど、意外とお茶目ではしゃいでいる。マリファナとかの影響もあってのことか?

パート2
これまでギリギリの緊張感を保っていたビートル課も、ジョージ主任の「こんな会社辞めてやる!」によって、プツンと切れてしまう。これまでカメラの前では不満を言わなかったポール係長も「ジョンの奴は課長のくせにけしからん」と。

ジョン曰く「ビートルズは"シゴト"になってしまった」

その後、何とかジョージの機嫌を取り、復帰に漕ぎ着ける。元の鞘に収まった彼らは、喧嘩した後のカップルがちょっと照れながら仲良くするかのように一見するといい雰囲気になっている。人手不足を補うために雇った派遣社員のビリーさんも笑顔を絶やさない良さそうな人だ。

ジョン課長「5人目のビートル、派遣社員のビリーくんや」ポール係長「給料(ギャラ)どうすんねん?」ジョージ主任「ワイが何とか調整しとくわ。ワイEMIとパイプあんねん」

ジョージ主任の機嫌を取りながら、何度も彼の曲のリテイクを取るポール係長。空気を読めないジョンの輩が「何のためにもう一回やんねん」とか余計なことを言うが無視してチームの調和を優先するポール課長。この辺りのマネジメントは参考になります。

一応ジョンもジョージさんに「おもちゃ(横置きギターみたいな奴。細野晴臣のライブでも用いられていたが何という楽器なのか?)」をAmazonギフトで買い与えたりはしてます。

閑話休題。

急遽参加となったビリー・プレストンですが、ほんとにいい仕事してますね。「Get back」にしても「Don't let me down」にしても彼のピアノがあるのと無いのでは雲泥の差ですよ!

ちなみに服のセンスは圧倒的にジョージがかっこいい。ポールは音楽的センスと比べて何か微妙。でも個人的にはリンゴさんのセンスが好き。

いよいよ屋上へ。

パート3
放課後ティータイムよろしくわちゃわちゃしながら収録を続けるビートル課のみなさん。時折、ポールが色々注文をつけて不穏な空気にもなりますが、カメラも回っているし、ジョンの言葉を借りれば「シゴト」として割り切っている部分もあったのでしょうか。ポールから叩き方をあーしろこーしろ言われてリンゴさんには珍しくご立腹(?)なシーンも。

基本的なみんなポールの才能は認めているし、敬意も払っているし、彼に合わせようとはしているんだろうけど、彼の頭の中には常に緻密に計算された完成形みたいなのがあって、これを押し出し始めると周りも付き合い切れなくなる…といった感じだろうか。同じ天才でも計算よりも感性で進めるジョンと対照的に思えます。

で、有名な屋上のライブですが、こんなこ出会したら最高すぎますよね。埼玉の田舎の焼肉ワタミの入ったビルの屋上ではやりませんが! 警察の人実際は職務上のポーズだけで止める気ないでしょ! この時期のビートルズのライブとかもっと見たかったなぁ… ガニ股でギター弾くジョンはやっぱりかっこいいし、スタジオでは日曜日のお父さんみたいでちょっとダサかったポールも、「ステージ」に立ったら最高にかっこいい。ジョージもリンゴも含めて全員、立ち居振る舞いがいちいちかっこいい。

書きたいことはまだまだ山ほどあるけれど終わらないのでここまでにします。ピーター・ジャクソン最高の映画をありがとう。ロードオブザリングは見てなくてごめんなさい。見る前は「長いなぁ…」とか思っていたけれど、最後は「もうずっとこれを見ていたい」となりました。

以下メモ。
・ちょいちょいジャムリながらやるカバー曲や昔の曲も最高。それだけまとめてアルバムにして欲しい…
・ヘルプもやってくれるなんて
・歯を剥き出しにして(なんと表現して良いかわからない)ジョンとポールが向かい合って歌うシーンが好き過ぎた
・リンゴはBL的な感情すら湧いてきそうな危ない魅力がある。かわいい。
・リンゴとジョージが「Octopu's Garden」作るシーン好き。
・好きなシーム多過ぎて全部挙げられない。
・奥田民生の「荒野を行く」ではなく「Get Back」。
・「Let It Be」はそれほど好きなアルバムじゃ無かったけど改めて聴き込んでみる。
・フェイバリット10入り。
さく

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