おでい

GAME KING 高橋名人VS毛利名人激突!大決戦のおでいのレビュー・感想・評価

4.0
当時10歳で父親に頼んで連れていったもらったのがこちらの映画。

これ単体の映画では無くて、『RUNNING BOY スター・ソルジャーの秘密』というアニメ映画の方がメインで、こちらは同時上映されたサブの方。
どちらもファミコンソフト『スターソルジャー』をテーマにした映画で、アニメの方はスターソルジャーのシミュレータに主人公が乗って戦うっていう感じで、こちらは当時、小学生の憧れだった高橋名人と毛利名人がゲームで勝負するというドキュメント。

1986年ってファミコン全盛期ではあるけれど、ゲームが映画化されるのって90年代以降がメインで、今でこそゲーム実況もあればeスポーツも市民権得てるけれど、それをこの時代に映画にして東宝系で全国ロードショーしたのは凄い。
なお、アニメの方もレビューしてるので興味ある方はそちらも読んでくれたら嬉しいです。
ちなみに映画は大ゴケしてます。

映画の内容はスターソルジャーを2分、2分、5分、5分のタイムトライアルで得点を競い、第5ラウンドは1~4面をクリアした得点で競うというルール。

これ、2人の勝負見てたら面白いんだけど、毛利名人は高橋名人が出てきた後がまで、人気はもう完全に高橋名人の方にあるわけで、そんな中でも絶対負けられないプレッシャーで臨んでいるので、とにかく早め早めで敵をどんどん破壊して行くのに対して、そもそもハドソンの広報でゲームの伝道師として全国キャラバンを回っている高橋名人は、敵の出現を見せてから破壊していくというパフォーマンスプレイを展開。
対戦ゲームでお互いやり合ってるのじゃないので余計に個性が出ていて面白いです。

ゲームやってるの見ていても躍動感が薄いので、プロレスみたいに実況中継が入っていて、担当しているのは飛田展男さん。
実況に関しては敵キャラの名前も事細かに入ってるので、あとからシナリオを読み上げる形で収録されたものだと思われます。

なお、勝敗に関しては各ラウンドの勝ち数から毛利名人が勝利するものの、合計得点が高橋名人の方が上と言うことでドローに。
GAME KINGという大袈裟なタイトルを付けている割には、勝敗をつけてないし、そもそも企画段階では高橋名人が負ける予定は無くて、こじつけで総合得点も考慮してドローにしたと思われます。
そもそもハドソンのプロモーション兼ねていて、ハドソン社員が負けるとか無いですからね。

この映画ゲーム対決よりも伝説になっているのが、最初に流れるプロモーションシーン。
力の高橋名人、頭脳の毛利名人というのを表した映像なんだけど、毛利名人は水泳だったり豆を箸で分けるとか、トランプタワー作るのに対して、高橋名人は人差し指でバイクの突進を支えるとか、連打で居酒屋カウンターの食器を動かすとか、工事現場で鍛えてるとか、今では伝説となった16連打でスイカ割りというのを披露し、完全にネタとして走ってます。
なおこの時に流れる歌は坂上忍さん。
なお、スイカ割りは中に圧搾空気を仕込んで破裂させているとの事で、企画にゲームクリエイターの渡辺浩弐が参加しており、彼のアイデアだそうですよ。

あとゲームのルールで敵にやられると即失格という厳しいルール設定がされていたんですが、高橋名人は改造ROMで、無敵になっていたそう。
これは高橋名人が殺られてしまうと元もこうもないので、渡辺浩弐により実行されたそう。

類似作品があまり無いという意味では貴重な映画だし、そもそも伝説のオープニングやスイカ割りがなければ過去の遺物になり話題にも上がらなかっただろうし、純粋なゲーム対決の映画じゃなくて良かったかなと。

ちなみにエンディングの音楽が凄い良いので聞いてほしい。

ファミコンゲームが大好きな人は手に入らなくなる前に中古ででも入手しておくべき映像ですよ。