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『重慶ブルース』に投稿された感想・評価

KnightsofOdessaの感想・評価

2022/06/03 22:46

3.0

[中国、我が息子とは何者だったのか]　60点

2010年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。当初は"ある視点"部門選出だったが格上げされたという経緯があるらしい。半年の航海から戻ってきた船長のリンは、25歳の息子がデパートで人質事件を起こして警察に射殺されていた事を知る。何が起きたのか知りたい、しかしそもそも息子とは何年も前に別れたきりで、近況などほとんど知らない。リンは故郷である重慶に戻り、馴染みの人々や事件の関係者を訪ね歩く。無神経で押し付けがましい態度での独善的な捜査は、既に平穏を取り戻していた関係者の生活に混乱をもたらしていく。都市の汚れやスモッグを強調するような映像は、過去に留まり続けるリンと再開発が進んでいく重慶(とその住民たち)とを隔てる不透明な壁のように立ちはだかる。事件についての回想シーンがセピア調なのも、息子が幼い時の回想がキレイなカラーなのも、リンの心の距離を表しているんだろう。また、重慶は内陸都市だが、嘉陵江と烏江(長江の支流の一つ)の合流地点付近にある交通の要所であり、船で遠洋に行くリンと内陸に残った息子との微かな繋がりを意識している。あと、凄いどうでもいいけど、息子を撃った警官が杉田智和に似てた。

LBに"ワン・シャオシュアイは記憶に残らない映画の名手だ"みたいなレビューがあって爆笑した。確かに『在りし日の歌』も面白かったことだけは覚えてるけど、実際にどんなシーンがあったかは欠片も思い出せない。本作品も悪い映画ではないと思うが、来週には観たことすら忘れてそう。

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