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Go Go Tales(原題)のCHEBUNBUNのネタバレレビュー・内容・結末

Go Go Tales(原題)(2007年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

【ウィレム・デフォーのイケイケ物語!】
先日、MUBIでアベル・フェラーラの激レア作品『Go Go Tales』を観ました。本作は、2012年のカイエ・デュ・シネマ年間ベストにて『4:44 地球最期の日』と共に選出された作品でありながも日本ではほとんど観ることのできない作品。アベル・フェラーラといえばクズの中の信仰をテーマにした作品が多く、そのクズ理論が毎回魅力的な監督で私は大好きです。そして本作はラストがめちゃくちゃカッコよかった。ラストについて触れているのでご注意ください。

正直、『アンカット・ダイヤモンド』が登場した今考えると、本作の修羅場修羅場の釣瓶打ち映画としてはワチャワチャし過ぎてそこまで評価は高くない。ましてや『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』を引用しているという点でも、どうしてもジョン・カサヴェテスの舐めるような撮影に劣る部分がある。しかし、それでもウィレム・デフォーの常時ガンギマリな演技は大迫力である。

彼は火の車経営のクラブの経営者レイ・ルビーを演じている。クラブはセクシーなお姉ちゃんがお捻りをもらい、時たま荒くれが暴動を起こし、さらには取り立ての人が来る。数々の修羅場の合間を縫って彼は金をなんとか集めている。そんな彼は一発逆転として宝くじに挑戦するのだが、これが大当たりして億万長者となる。

だが次の日、肝心なくじをなくしてしまう。従業員にバレないように探すレイ。焦燥の顔をみせないように舞台上では飄々としているが焦りと悲しさが高まり一触即発の状況となっているのだ。まさしく、『アンカット・ダイヤモンド』のアダム・サンドラーさながらである。

そして、ラスト。遂に彼は従業員たちに追い詰められる。すると開き直って札束をぶちまけながら演説をする。全てくれてやると暴れていると。胸ポケットに妙な感触がある。サッと取り出すと、宝くじだった。こことぞばかりに演説を続行してパフォーマンスとして昇華させていくのだ。このお茶目でカリスマ的なウィレム・デフォーがカッコ良過ぎてこれだけで大満足でした。
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