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Guilty: 不実の代償のBaadのレビュー・感想・評価

Guilty: 不実の代償(2020年製作の映画)
4.0
Netflixの配信映画であることと、表に出ている評価が低かったので見逃していましたが、これはかなりの力作です。的確なレビューを書いてくださったくりふさんありがとうございます。

かなり前に起こったレイプ事件がおりからの#MeTooのうねりに合わせて蒸し返される。訴えられた学園の人気者とその周辺の対応は?という映画でしたが、訴えられた男子学生のガールフレンドがメンタル不安定な優秀な生徒であったことで話は二転三転します。

正直起こったこと自体は#MeToo前と以後では多分インドでは評価が違うであろう出来事の上、双方同意の上で飲酒した上での事件ということで、被害者にとっては売名行為という面もないとは言い切れない。ただし、その行動の影響で変わりうることもある、という視点がしっかり出ていたところが良かったと思いました。

事件そのものについては、当事者の心情はどうあれ、一定の客観的評価は可能な形に作ってあるのも上手いと思った。

にしても、これ大人が介入しなければここまで大事にならずに妥協できたのでは?と思ったりもしたのですが、この辺は社会全体の病理なのかも、と思いました。(でも、一旦事件化された後の周囲の反応は日本よりマシな印象がある。マスコミがダメなのは似たり寄ったりだけれど、インテリ層のレベルとか力がインドの方が高いのかしらん?)

カラン・ジョーハルがウェブ上での映画やドラマのプラットフォームとして立ち上げたDharmaticの第一作ということで、おそらく満を持して役者陣や監督、脚本家は実力のある人を集めて撮ってあり、映像もこの規模のインド映画としてはまずあり得ないレベルに高品質です。

カランさんのダルマ・プロダクション、大量動員しなくてはならない娯楽映画に限界を感じたのか、ウェブ上では実に生き生きと続けて良い作品を出していて頼もしいです。
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