まだ若い友人が突然死ぬという出来事は、ネズミたちにとって自分たちだけが見舞われた、この世で一番不幸な事件だっただろう。
けれど、カエルという偶然知り合った相手、しかも傷心の心では直感的に疎ましいと感じた相手にも、同じような経験があったということ。
それは不幸の只中にいたネズミたちに、自分の立ち位置を良い意味で客観視させたのではないか。
カエルのキャラは観ているだけでも、まあ普通にうっとうしい。でもこれが、生前のワニに後ろ姿だけでなく性格までそっくりだったら?
身代わりみたいな生き写しの存在と出会って、立ち直っていく物語もそれはそれでいい。ただ、うまく言えないけれど、このポップな世界観と彼らの仲間観にはこっちが合っていたと感じた。
時間にしてちょうど半分で原作の展開が終わって、あれ?と思ったけど、意外と悪くなかった。
後半はワニが主人公じゃない。ワニと過ごした仲間たち、あと、ワニの存在を知らないままにワニのいた空白に収まることになったカエルだ。
だから、『100日後に死ぬワニ』じゃなくて『100日間生きたワニ』だったんだ。すごく納得した。