タカナリ

鯨と斗う男のタカナリのレビュー・感想・評価

鯨と斗う男(1957年製作の映画)
3.4
高倉健出演。
鯨捕りに命をかける男達の戦いが描かれた作品。

描かれているのは、鯨捕りの厳しさ、捕鯨船同士の対立、鬼船長の噂の真相です。
鯨捕り自体あまり馴染みが無かったので、意外と興味が湧きました。今はどうなのか分かりませんが、過酷さは伝わりました。

「どんな無茶な事をしてでも鯨を捕る」という鬼船長に関しては、正直船長の器ではないと感じました。
厳しすぎるが故に、どんな無茶をしても船員は口出し出来ず、その上船長は鯨捕りに夢中で船員の事なんか考えていません。船員に危険が及んでも鯨捕りを優先するような男です。
船員がいてこそ船は動くわけで、船員が仕事をきちんとやってくれるから鯨を捕ることが出来ます。その事を忘れているのではないでしょうか。まるで自分1人で捕ったような振る舞いに見えました。
横捕りにしても酷い。鯨捕りが上手いなら正々堂々やるべき。

気になったのがラスト。
噂の真相がみんなに明かされらわけなんですが、論点がずれてる気がします。
みんなが怒ってる理由って、「横捕りや無茶な捕鯨をして会社や船員を苦しめているから」だと思うんですが、そこでその真相を聞かされても、特に解決にはならないように思います。自分のやり方を変える気はないみたいですし。
私は真相を聞いても、みんなみたいに「じゃあ仕方ない」みたいな感じにはならなかったです。

たまたま見たんですが、結構興味深い作品でした。