りょう

護られなかった者たちへのりょうのレビュー・感想・評価

護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)
4.0
今週は休みをもらっているので、久々映画館で鑑賞。時間があった朝の時間で上映スケジュール合ったのはこの作品だったので、007も観たいなぁと思いつつも鑑賞。月曜の朝から重たーいのを見てしまったが、なかなか見応えある作品だった。

生活保護の支給をやっている友人がいたけど、この映画を見てすごい難しい仕事だってことが改めて
よく分かった。当たり前なのかもしれないけど、本当に困っている人もいれば、不正受給している人もいるみたいで、なにが良くてなにが悪いのか、その線引きがものすごい難しい。その狭間で苦悩するもんだから、やっぱり原理原則に従って行動するのが結局一番いいのだと。

震災で被災された方々の気持ちは、津波の被害に遭わなかった自分には到底理解できない。避難所でうずくまりながら家族との再会を待つ、その先に遺体となった家族と対面することもあって、その悲しみは計り知れない。生きることが急に困難になって、簡単には取り戻せなくなった経験も自分はしたことがないし。

生活保護を受けたいと思っても、国に迷惑をかけてしまうという思いだったり、遠い親戚やもう会うこともない娘にまで連絡が及んでしまうってこともあるんだな。国民を守る仕組みなのに、ややこしいし、理不尽な部分も多い。

佐藤健の「目」が印象的だった。こんなに目で語る俳優だったか。るろうに剣心ではアクションが目立ったが、この作品では口数が少ない分、目で語っている。脇を固める役者も実力派ぞろいで、出ている時間は少ないけども三宅裕司もよかったな。もちろん清原果耶も安定の良さ。いろんな作品に出るうちにどんどんいろんな面が見れてよし。

きっとこの話の登場人物、誰一人本当に悪い人はいなかった。でも人が生きていくっていうこと、社会のシステムの中で、そして誰の力も及ばない大震災を経て、それぞれの歯車が噛み合わなくなっただけ。健康で文化的な最低限度の生活。天災も多いこの国で、理不尽に最低限度の生活ができなくなってしまった人にはやっぱりちゃんと保護が行き届いて欲しい。
りょう

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