ルイ

護られなかった者たちへのルイのレビュー・感想・評価

護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)
3.9

「ただいま」   「おかえり」

それが言えなかった人達が沢山いた"あの日"から10年


生活保護の受給という切り口で、
東日本大震災を描く設定に惹かれて鑑賞。


震災後、生活が苦しい筈なのに「国の世話になりたくない」と受給を拒む人達もいれば、一方で不正に受給を受けている人達もいる。

仕組みはあるものの、生活保護が本当に必要な人に行き届かないという現実がショックでした。

地震や津波がきっかけとなり、二次的に亡くなってしまった人達は多いのかも知れない。
それは恐らく護れる筈だった命。
残された人達はどう受け止め、どう折り合いを付けて生きていくのだろう。


やるせなさと行き場の無い怒りが
作中に漂っていました。


キャスト全員の迫真の演技に魅入ってしまいました。
特に清原果耶さん。
先日完結した朝ドラ『おかえりモネ』と
合わせて観れて良かったです。




ここから余談の自分語り。


私の家族は揃って桑田佳祐さん、サザンオールスターズのファン。

今作の主題歌「月光の聖者達」が収録されたアルバム『MUSICMAN』は2011年2月23日に発売されました。


そして私は仙台出身で震災も経験しました。

ただ内陸に住んでいた為、被害は沿岸部の方々とは比べ物にならないくらい小さいです。

しかし最初は散乱した物の片付け、水や食料の確保に追われ、先が見えない生活が続きました。

電気が止まりテレビもパソコンも使えなかった時、夜の無音が怖かったのでラジオや音楽を流していました。
あの時は本当に音楽に支えられていたと思います。

エンドロールでこの曲が流れた時、
当時の事を思い出して自然と涙が出ました。


当時使っていたウォークマンは
段々とボタンの反応が悪くなってきていますが、
何とかまだ頑張ってくれています。


もう10年。早いなぁ。



2021年劇場鑑賞NO.29-62本目
ルイ

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