結局カレー

護られなかった者たちへの結局カレーのレビュー・感想・評価

護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)
3.2
東日本大地震災から10年以上経ち、その当時やその後を取り上げる映像作品が増えてきてニュースだけで知っていた震災がどんどん立体的にみえてきた気がする。この作品でも居住人口減少、社会からの孤立、地方財政の逼迫など震災の被害の根深さを知らしめてくれた。 

本当に困っている人と救いの手を上手く結びつけることって難しくて、そもそも「本当に困っている」が何を基準とするか不明確だからこそ行政側は一定の基準で線引きしなくてはならないわけだし。不正受給も横行してるからこそ見極める必要があって温情だけでできない酷な仕事だとも思った。周りに助けてもらえばいいと他人には言えてもいざ自分が助けてもらう立場になるのは躊躇しちゃうのなんだろうね。すごくわかる。遠慮なのかプライドなのか、、、

犯人は生活保護の実態がわかる立場になったからこそ行政側の事情もわかるんじゃ?とも思ったけど、むしろ救える命だったと確信したんかな。孤独を分かち合った3人の絆が胸にくる。「死んだら終わり」って言葉は生きていくことを鼓舞する言葉でもあって悪い表現ではないと思うけど、それは生きてるからこそ放てる言葉で死人にかけていい言葉じゃない。

「死んでいい人間はいない」だからこそ私たちが護られる権利がある、核心をつく台詞だった。権利を握って図太く生きていきたいね。