悪とは何か。
憎しみと恨みの「恐ろしさ」。
生活保護について、事件の真相を考えながら学ぶことが出来る作品。
生活保護を貰うべき人が貰えない現実、曖昧な制度と行政の問題点。
重い内容ではあるけれど、わかりやすく、伝わりやすい内容でした。
精一杯生きているから追い詰められて、最後には疲れてしまう。なぜ役所の人間は、生活保護が必要な人をぞんざいに扱うのか。彼らも終わりの見えない業務に疲れ果てている。そのツケがどんどん弱い人のところに溜まっていき、悲劇が見えないところで起こってしまっていました。
みんなつらい過去を背負っていたり、苦しい現実を抱えている。それでも寄り添って生きていくしかない。
死んでいい人なんて誰もいない。
でもきっとどこかで誰かが見ていてくれる。世の中捨てたもんじゃない。
みんながそう信じて助け合えばきっとうまくいく。変わっていける。
そんな理想論でも夢物語でもない、現実的な希望を描く。
それぞれが誰を護り、誰を護れなかったか。殺人の真実を知ったとき胸が締め付けられました。
登場人物の誰に感情移入するだろうか。誰が正義で、誰が悪か。それは表裏一体。
その答えのない問いかけに考えさせられる作品でした。