おたば

護られなかった者たちへのおたばのレビュー・感想・評価

護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)
4.2
めっちゃ良作だった。胸が痛くなるような社会派サスペンス。

監督の瀬々さん、脚本の林さんは「ラーゲリより愛をこめて」でもタッグを組んでいますね。
正直、primevideoでこの作品がラインナップされるまで、全く認知していなかった作品なのですが、中々に刺さる映画でした。

東日本大震災が起因した津波によってかつての生活を失われた人々。
それから9年の時を経て、仙台で起きた殺人事件は被害者が監禁され、餓死した状態で発見されるという惨たらしい事件。

県警の刑事役として阿部寛さんが、被害者の身元を辿る中行き着いたのは、生活保護を担当する役所の福祉課でした。

一方で刑期を終え出所した佐藤健演じる利根という青年にもスポットが当たりますが、利根がどう関わってくるのか見応えのある作品です。

佐藤健の誰も寄せつけんとする表情だったり、阿部寛のどことなく危なげな何か闇を抱えた感じだったり、清原果耶の静かに、でも確かに怒りに震えているような表情だったり、倍賞美津子の優しく愛に溢れた表情だったり。

軸となる俳優陣の演技がどの方も素晴らしくて、涙無くしては見られませんでした。

サスペンスでもあるのですが、震災を置いても生活保護にまつわる問題を切り取っている一面もあって社会に訴えるメッセージ性を孕んだ作品だと思います。

被害者は餓死なので、暴力的な、バイオレンスな描写はありませんが遺体はちょこっと映るのでそこだけ注意すれば。

おすすめ度は86点。
重めな作品ですが、とてもいい作品だと思います。
おたば

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