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護られなかった者たちへのEirainのレビュー・感想・評価

護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)
3.2
原作は、中山七里の同名小説。原作を読み終えたので、原作との比較も兼ねて鑑賞。

東日本大震災から数年後の宮城県で、拘束したまま餓死させるという手口の殺人事件が発生する。その残酷な殺害方法から、警察は怨恨の線で捜査を進める。被害者が福祉保健事務所で生活保護を担当していたことから、刑事である笘篠と蓮田は、生活保護申請を却下された者による怨恨の可能性を探る。捜査を進める中で笘篠らは、生活保護の実態と、大震災によって生まれてしまった"護られなかった者たち"を目の当たりにする―――。

大筋は概ね原作どおりだが、メッセージ性は大きく違う印象。個人的には、原作は「なぜ"善人"や"人格者"が殺されなければならなかったのか」というテーマから外れてしまう展開でモヤモヤしてしまったのだが、本作はイメージどおりの社会的メッセージが伝わって来たのでしっくりきた。イメージどおりで良かったと言えばそうなのだが・・・後日談を想像すると違う意味でモヤモヤ。この事件を美談めいたものにされては、殺された2人の家族とか親しい人とか堪ったものじゃないだろうなと。
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