ミサホ

護られなかった者たちへのミサホのレビュー・感想・評価

護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)
3.7
観るのがしんどそうだな…と避けていた作品を観ることに。佐藤健が出演している作品は『ひとよ』以来。

困っている時、声を上げたら、必ず誰かが手を差し伸べてくれる…とカンちゃんこと幹子(清原果耶)は言う。

でもその声が届かなかったり、上げた声をないがしろにされたりすることもある。現実の社会では、本作のようなことがないことを願う。

震災後、行政に殺されたといっても過言ではない死に向き合った泰久と幹ちゃん。震災では嫌というほど、死を見てきたふたり。被災地ではそんな人がたくさんいるけど、行政に突き放されるのは違う。

持って行きどころのない負の感情を溜め込み、怒りを爆発させる泰久を演じた佐藤健、良かった。清原果耶ちゃんは初めて。今回でやっと顔と名前が一致した。

震災から数年後、被災地で殺人事件が発生。その捜査をする刑事が阿部寛と林遣都のコンビ。

林遣都くんは、もうちょっとソフトな感じでいった方が良かったかな。だって、捜査に入った殺人の現場で気持ち悪くなって吐いちゃってるのに、結構、文句たれで偉そうなんだもん。あの麗しい見た目はちょっと損ね。

そして、生活保護受給の窓口担当の三雲を演じた永山瑛太。『怪物』での怪演(あれは怪演だった)を思い出すような名演だった。ああいう役をさせたら天下一品。緒形直人もセットで憎たらしくて腹立ったよ。

被災地での生活保護を巡る行政の在り方を問うた、重く、しんどい作品だった。
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