弱者のセーフティネットである生活保護は、受け身の政策だと本作を鑑賞して感じた。弱者に手を差し伸べるのではなく、弱者が自ら飛び込まなければ護ってくれない。それの手助けをする生活福祉課も所詮は人間。キャパを越えると手が回らなくなる。そのせいで、対応が杜撰になってしまい、今作の悲惨な結末を迎えた。純粋な善人も多角的に見ると悪人と捉えられる。その逆も然り。本作はそれが顕著に出てたイメージ。一概に悪人と言えないことは分かるが、なんだかなぁって感じがした。
ミステリーの質も高く、二度楽しめる映画となっている。個人的には阿部寛演じる笘篠の妻と子供が幻影となって現れて、その子供が阿部寛に駆け寄ろうとするのを妻が止めるシーンが1番好きだった。