サトモリサトル

風船のサトモリサトルのレビュー・感想・評価

風船(1956年製作の映画)
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川島雄三監督の誕生日に観賞。
あの洲崎パラダイスと同年の昭和31年に発表された作品。
因みにこの年に川島は5本監督している。

一応の主人公は森雅之といったところか。
役名が村上春樹。
その息子がクズなんだけど、それを演じるのがクズ男といったらこの人な三橋達也。
洲崎パラダイスでは小心な感じだったけど、こちらでは高慢な態度で愛人の新珠三千代を死に追いやっても平気な顔。
厳格な父とクズな息子という取り合わせが成瀬の『山の音』を彷彿とさせる。

本作の救いは、芦川いづみ演じる娘の珠子と左幸子演じる京娘のるい子。
特に珠子の笑顔は本当に天使のよう。
だからこそ新珠三千代はあそこで踏み止まって欲しかった…。