あき

沈黙のレジスタンス~ユダヤ孤児を救った芸術家~のあきのレビュー・感想・評価

4.2
2021年劇場観賞15本目
伝説的なパントマイマー、マルセル・マルソー(1923-2007)が若き頃ドイツ占領下のフランスでユダヤ人戦争孤児を永世中立国スイスへ数千名規模で国外脱出させた実話。
ユダヤ人弾圧への抵抗としては”シンドラーのリスト”(1994)や杉浦千畝が有名だけど、彼らのように組織的な力を持った人物によるものとは異なり、なんら権力を持たない一市民が大きな犠牲を払いながらも子どもたちに笑顔を忘れさせず、復讐するのではなく”命をつなぐことが真の抵抗”なんだと子どもたちを生き延びさせることに至力するその姿、そしてラストのジェシー・アイゼンバーグのパントマイムの沈黙の圧巻の演技は涙なしには見られない。
夏になるとホロコースト系の映画が何本も毎年公開されて題材的に手垢がつきすぎたものが多い中、
この作品はとても秀逸な映画だと確信する一方で、エンタメ系の映画だと数百の劇場で公開されるのに、全国で50館にも満たない公開で人の目に触れる場が少ないのは残念でならない。
あき

あき