takato

スーパーサイズ・ミー: ホーリーチキン !のtakatoのレビュー・感想・評価

4.3
2になっても魂は変わらず!


電波少年的なチャレンジ企画だった前作から捻った形になったが、より社会問題を抉った内容になっている。

金と力が集まる所に恐るべき腐敗と搾取あり。これはアメリカの様々な面に共通している問題だろう。

問題について知りたければ、問題の一部になってみればいい!という教えの元に、前作から12年の間にヘルシー路線がすすんだファーストフード界の実態をファーストフード店を実際にやってみることで徹底調査。


そこからまず見えてくるのは、単なるイメージに操作されている消費者の姿である。それも、みんな本気で実態を調べて健康を求めているわけじゃなく、結局のところヘルシーという言い訳の元に不健康でも美味しい物が食べたいから進んで騙されてる面がある。

この表面的なイメージや感情で簡単に動く大衆という問題はアメリカだけでなく日本でも当てはまるだろう。もう好き嫌いレベルでしか良い年こいた大人でも物事を判断できないんじゃ民主主義はオシマイである。


さらに、恐ろしいのが搾取の実態だろう。養鶏家たちは市場を支配しているメジャーによって合法的に奴隷化させられている。

絶えず困窮したワーキングプアな状態において置き、従順でない相手には露骨に不公正な扱いをしながら、表向きは公平公正で養鶏家にも優しいシステムとうそぶく…。


代々養鶏家をやってたおじさん達が、クリスマスも息子の葬式の直後も仕事しなきゃならなかった…、こんな想いは息子にさせたくない、と涙ながらに語る場面は痛々しくて見てられない…。


資本主義は全否定はしないが、金儲けが全てになるとどこまで人間性が荒廃していくか、この一事を見ても明らかだろう。

だからこそ、金儲けだけじゃない人間の価値をしっかり持っている人間こそ、人の心を動かす物がある。最後に監督が美味しく楽しみながら業界の現実を皮肉たっぷりに暴露した店を開店した時に協力してくれた養鶏家のおじさんが来る件は本当に感動的であった。
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