無性に好きな邦画です。
※私自身も高校生の時にバンド活動を少しだけかじりました。その思い出補正も働いてるのかもしれません。
本作は撮影された時代の流行や空気を随所で垣間見ることができる一方で(その時代を生きた人にとってはとても懐かしいもの)
実にリアルで普遍的な青春群像が丁寧に描かれており、所謂娯楽作品を超えて時の試練に耐えうる強度で作られています。
映像の節々からほとばしる、その青春の瑞々しさに、素晴らしいジェームス・イハの音楽が加わる事で、彼女達のふとした一瞬が、
しかしそれはもう決して2度と来ることのない、かけがえのない瞬間として刻まれるべき時間であることに、鑑賞者は気づき、
彼女達自身は気づいていないのかもしれません。
最後の演奏シーンも良いのですが、見どころは、そこに辿り着くまでの主人公たちのちょっとした心のうつろいと、少しずつ心が打ち解けていくその過程にこそあると言えるでしょう。
00年代を代表する一作といっても褒めすぎでは無いように思いました。
総じて今風にいうと、エモいのかもしれませんが、そんな一言ではまとめられないくらいの行間の良さと、静かな感動に溢れた作品です。
