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リンダ リンダ リンダのcamusonのレビュー・感想・評価

リンダ リンダ リンダ(2005年製作の映画)
4.6
前知識ほぼなしで見ましたが、
お話としては、
女子高校生4人の急造バンドが、
高校文化祭で、
ブルーハーツの「リンダ リンダ」を披露しようと、
猛練習したりするという、
知っていたらスルーしてしまいがちな内容で、

更に、ボーカルは韓国からの留学生という、
駄作街道まっしぐらというか、駄作無双というか、
そんな感じです。


横道にそれますが、
ブルーハーツが流行ったとき、
私はリアルタイムで高校生でしたが、
朴訥な感じがあまり好きにはなれませんでした。
しかし今となっては、唱歌として再評価しているところで、
日本語がはっきりしていて、思わず口ずさんでしまいます。
聴きたくないけど歌いたくなるカテゴリー
における、ひとつの完成形と言えます。


話を元に戻しますが、
冒頭に述べたとおり、駄作臭のきついプロットにもかかわらず、
こんなに面白い映画を創れてしまうというのは、
ちょっとした魔法を見たような感覚です。

各シーンにおいて、人と人との関係により生じる
「空気」であったり、「間」であったりが、
ごくごく自然に再現できてるんですよね。
各役者が下手な芝居をせず、役になりきり、
キャラクターの魅力を最大限に引き出しています。

また、そのシーンが持っている味が出尽くすまで、
ギリギリまで引っ張ってから次に繋いでいくので、
空回りとか、上滑りとかが全くなく、
着実にヒットが重なっていく感じです。

出演者とスタッフ間において、
そういった作品に対する姿勢や意識が、
高いレベルで共有できているのが感じられ、
監督の並々ならぬ才能を感じました。
同監督の別の作品もぜひ見てみようと思います。
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