汽笛の音で目を覚ます

リンダ リンダ リンダの汽笛の音で目を覚ますのネタバレレビュー・内容・結末

リンダ リンダ リンダ(2005年製作の映画)
1.8

このレビューはネタバレを含みます

女子高生が文化祭でブルーハーツの曲を演奏しようと奮闘する青春映画。

高校時代は軽音楽部でロック狂いだったからもっと刺さるのかなと思ってたけど、そうでもなかった。多分主役の彼女たちにロック特有のカッコよさを感じなかったのが主な原因。

なんか日本映画好きの人が作った女子高生バンドを利用した青春映画みたいな。それが駄目とは言わないけど、「本当にブルーハーツを好きな人が撮ってる?」って思った。思ってしまった。

なんか作り手側の映画愛と音楽愛を比べると、8:2ぐらいで映画愛の比重のほうが大きい感じ。日本映画好きとか、ただ女子高生が青春してるのが見たい人は満足するだろうけど、自分は映画と同じぐらいロックも好きというのもあり、そのギャップが最後まで続き、結果としてアンバランスな映画に見えてしまった。

気になって少し調べたら、監督自身がオファー当時は「ブルーハーツに特別思い入れがあったわけではないし、いまの女子高生がブルーハーツを歌って面白くなるのかな…って、気持ち的には乗らなかった」って言ってるのもあって、なんか納得。それがスクリーンに出ちゃって、見てる自分に何となく伝わっている時点で、どうしても好きになれなかった。

ただ、カラオケのシーンとか、人間ドラマ的にはところどころ良いなと思える部分はあった。でも、ブルーハーツである意味が見出せなくて、いい意味でも悪い意味でもこの監督の映画になりすぎてる気がする。日本映画特有の静かな雰囲気が好きな人は好きなんだろうけど、あまりにそこらへんの層に評価されるように作りすぎてるような印象。自分がロックを大好きすぎるが故の感覚なのかもしれないけど。

一応ブルーハーツの楽曲を扱った映画ということなので、やっぱり映画自体にロックを感じないとどうしても微妙さが残る。熱いだけがロックではないのは分かってる。でも内に秘める熱みたいのを感じるわけでもない。最後も遅刻させたりとかそんな展開にするんじゃなくて、ストレートにライブで魅せてほしかった。

色々言ってしまったけど、それでもペ・ドゥナはめっちゃいい演技してたし、この映画のタイトルがバンド名の由来になってる『The Linda Lindas』は、めちゃくちゃカッコいいことだけは確か。