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ホテルローヤルのkuuのレビュー・感想・評価

ホテルローヤル(2020年製作の映画)
3.7
『 ホテルローヤル』2020年
104分PG12
桜木紫乃 原作小説(既読)の実写化映画。
北海道の釧路湿原を背に建つ小さなラブホテル、ホテルローヤル。
経営者家族の一人娘・雅代(波瑠)は美大受験に失敗して、ホテルの仕事を手伝うことに。
アダルトグッズ会社の営業・宮川(松山ケンイチ)に淡い恋心を抱きながらも何も言い出せず、黙々と仕事をこなすだけの日々。
そんな中、ホテルにはひとときの非日常を求めて様々な客が訪れる。
ある日、ホテルの一室で心中事件が起こり(岡山天音と伊藤沙莉←高校生役が妙にハマってた)、雅代たちはマスコミの標的となってしまう。
さらに父(安田顕)が病に倒れ家業を継ぐことになった雅代は、初めて自分の人生に向き合うことを決意する。

余談ながらPG12(Parental Guidance)
作品やけど、今作品はガキが見れるレベルなんかぁ。
ストーリーはあっさりしてて、ラブホが舞台でも序盤に多少の濡れ場がある程度で、女性でも見やすいかな。
阿寒湖の美しい情景や、ラブホの従業員がどん底から望む、夜空の星は素敵やった。
この映画は、悲しいのに笑えて、なんてないSEXを目的としたラブホの話なのになぜかホックらした。
放映時間残り30分くらいからキャラと背景を鑑みてなんかジーンともきたなぁ。
ラブホでも映画の内容は仕事メインやしメリハリがある。
経営者やホテルの従業員には日常だけどキャラはそれぞれ笑ったらあかん場面でも笑える。
日々の合間に換気扇から漏れ出る男女の情事の会話や喘ぎ声に非日常があり、そこに思いがけない、笑いがまた生じる。
不思議な映画。
昭和のラブホ的な隠微感を知るものは隠微なノスタルジーさえ感じるはず?せやし、笑える。
ラブホの世界をコメディに描いているのにノスタルジーを感じるし胸が熱くなる。
自分が育ったとこの隣町に祇園がある。
そのたもと安井毘沙門に以前はラブホ街があった(今は三軒くらいかな)
映画寅さんファンならご存じかと思う名シーンで、寅さんの生みの母(ミヤコ蝶々演じる)に会いに行く場面でミヤコ蝶々が経営してるホテルがあるのが、安井のホテル街。
京都の河原町や木屋町でナンパしたら決まって野郎どもはそのホテル街にシケコンだ。
その界隈のホテルはまさしく今作品の『ローヤル』とよく似てる。景色は違いますが😅
今は全く違う世界に生きてるが、以前タイル張り職人の丁稚をしていた頃はよくラブホの内装修理に駆り出されて、普段みることの出来ない場所、例えば、部屋の裏に通路があって音が聞けるなどや、
従業員でなければ知り得ないことなどそこで働くおば様に教えてもらった。
例えば、部屋に絵画のレプリカ等があれば必ず裏を確かめろ等。
なぜなら、裏に魔除けなどのお札が付いてたら、その部屋で何らかの事件で人が亡くなってるとか。
安井限定で、今作品でも描かれてます『おとなのオモチャ』の入るボックスは値段の安い商品の蓋と、高い商品の蓋を同時に開ければ、ホテル側には安い値段がカウントされるエラーがでるとか、
闇カジでも使われてた、卓上フルーツビデオスロット(コインは香水や高級バッグなどと交換できた)が多くのラブホに置いてあり、主電源コンセントを抜いて改めて挿すと高設定になるエラーがでたり。。。
まだまだありますが😀
今作品はそこまで詳しく描かれてはいないまでも、関係者でないこと分からない話でなりたっているし、その仕事の可笑しみが潜んでいる。
これもまた評価は割れるのかなぁと思う作品です。
原作+『ドラマ全裸監督』の監督のユーモアからか、おとなのオモチャのセールスマン(松山けんいち)のキャラは、何処と無くAVに向かう前の村西監督に見えてきて可笑しみをさらに倍加させました。
日常と非日常ちゅうモンすらなくなりつつあり、また、その垣根がなくなっていく世界。 
そんなとこにいれれば、いつでも笑みこぼれちまうやろうと云う不思議な感覚。
この作品は、そんな感覚で終始淡々と流れていくかなぁ。
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