ノラネコの呑んで観るシネマ

そこにある環境レイシズムのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

そこにある環境レイシズム(2019年製作の映画)
4.3
Netflix。
26日で配信停止なので急いで鑑賞。
カナダ、ノバスコシア州のきれいな水を巡る戦いを、地元出身のエレン(エリオット)・ペイジが追う。
環境レイシズムとは、汚染を引き起こす工場や施設をマイノリティの多い土地に作り、結果的に住民の健康を害させること。
ノバスコシアの場合は、19世紀に地下鉄道によってアメリカから逃れて来た黒人たち。
そして先住民族のミクマクの人々。
マイノリティの声は無視されるから、被害を訴えてもなかなか届かない。
三つの地域の話が紹介されるが、どれも環境先進国の話とは思えない酷さ。
ある地域には上水道がなく、汚染された井戸水を飲むしかないのだが、一万ドルで新しい共同井戸を掘れるのに、なぜか町から予算が出ない。
現地の行政区画がよく分からないが、おそらく汚染されてるのは、町の中でもマイノリティの多い地域だけってことなんだろう。
例えレイシズムと結びつかないとしても、人口が少なかったり、相対的に貧しい地域に問題のある施設を押し付けるのは世界共通。
きれいな水を飲む権利は、本来戦って得るようなものじゃない。
ミクマクの水の守り手の女性が言う「金貨を持っていたとしても、金貨は飲めないでしょ」は金言。
観ておくべき力作です。