Cisaraghi

めぐり逢えたらのCisaraghiのネタバレレビュー・内容・結末

めぐり逢えたら(1993年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

完全にオッサンになる前のトム・ハンクスが若々しくてgood looking。奥さんを若くして亡くした失意の男性、Sleepless in Seattle を演じている。

最愛の妻を失った痛みを伝えるトム・ハンクスの絶妙な演技が実に素晴らしく、そして、それを受けるメグ・ライアンの表情がまた見事。この二人の名演が、その後のかなり無理のある話の展開に説得力を持たせていると思う。

(空港でトム・ハンクスが偶然メグ・ライアンを見かけて、一瞬見かけただけで!一目惚れするシーンは、さすがにとってつけた感じで苦しい。でも、あれがなければラストはもっと苦しくなってしまうので、苦肉の策だったことが伺える。)

そして、誰かを本当に愛したことのある人は、またいつか他の誰かを愛せるようになる、というドクターマーシャの至言が効いている。声を聞けばその人のパーソナリティがわかる、というのも納得できる。
 私信もその人の人となりをかなり忠実に映し出すと思うので、ジョナがアニーの手紙を読んで「この人がいい!」と直感的に思ったのもわかる気がするのだ。

始まりは悲しい別れだが湿っぽさはなく、いつまでも不幸を引きずらず前を向く。そこがアメリカ映画らしくてよいと思う。基本笑い満載のコメディだし。

また、これは二人暮らしの親子の話でもある。トム・ハンクス演じるサムが、探しあてた息子ジョナをひしと抱きしめ、どうして?と問いかける場面は、この映画の中で最もじんとくるストレートな愛情表現だったと思う(ハンカチ、ハンカチ⬜)。ここが最後でもよかったくらい。でも、その後の場面もやっぱりいいんだな……。

トム・ハンクス、ラブコメでも全然甘さはないというか、むしろビター。ラブコメなんか女子供の見るものだ、というオッサン目線をあえてラブコメに持ち込むことでリアリティを生んでいるのはさすが。(ノーラ・エフロン監督のコメンタリーがソース。)

ジョナ以外に、アニーの女友達、ロブ・ライナー監督、トム・ハンクスの奥さん、冷蔵庫おばさん、などなど、脇役もよくて、みんな笑わせてくれる。ジョナのガールフレンドのH&G、MFEO、NWじゃなくてNY、気に入った。ヴィクトリア、笑い方がホントにハイエナっぽい?
 ウォルター、申し分のない相手だからこそ magic の引力の強さがわかると思う。子供の頃仇名をつけてもらえなかった、というタイプには見えないとても素敵な人なので、きっとすぐにいい相手に出会えると思う!ごめん、ウォルター!

音楽もすごくいいんだけど、歌がやや説明的過ぎるのがあって、そこがちと惜しい部分。マイナス0,1点。
 
シアトル、ボルティモア、NYなど、アメリカのそれぞれの都市の風景が楽しめる。冒頭のシカゴの空からの風景も圧巻。特にシアトルは地理的にもユニークで面白い。あの水の上の家、いいなー。

名画『めぐり逢い』の素晴らしさを多くの人に知らしめた功績あり。映画の中のセリフにもあるように、どちらもchicks' movie かもしれないけど、chicks' movie 最高です。
 

『めぐり逢い』と繋げたかったのはわかるけど、邦題が地味で目立たないせいか、私がこの「運命の」映画を見たのは公開から何年も経ってからだった。少なくとも、マーケティング的にはあまり成功していない邦題だと思える。
 日本でもシアトルといえばこの映画、というようなご当地映画の代表になる可能性だってあったのに、もったいなかった。ニューヨークならともかく、シアトルでは知名度不足と踏んだのだろうか?『シアトルの眠れない男』じゃダメだったのだろうか?

『めぐり逢い』でエンパイアステートビルの上で会えなかった二人の代わりに、こちらでの二人+一人は会うことができる、そしてその場面にAn Affair to Remember が流れるの、何回見ても幸せな気持ちになります。
Cisaraghi

Cisaraghi