イチロヲ

アッシャー家の崩壊のイチロヲのレビュー・感想・評価

アッシャー家の崩壊(1948年製作の映画)
3.5
片田舎に佇んでいる屋敷に招待された青年が、旧友兄妹に早世の呪いがかけられていることを知らされる。エドガー・アラン・ポーの小説を映像化している、ゴシック・ホラー。イギリス製作であり、後のハマー・フィルムに影響を与えている。

生前の両親がゴタゴタを起こしたおかげで、アッシャー家を壊滅させるための呪いが発動。残された兄妹にも伝播して、精神不安定な状態に陥ってしまう。意味深なカットが随所に挟み込まれるが、本編内ではその答え合わせをおこなわない。

狂女と化した母親が、ギリヤーク尼ヶ崎のような出で立ちで登場するため、絵的な面白さが備わっている。オトナたちが全力で掛かれば拘束できそうな相手なのに、なぜか返り討ちに遭い、ヒーヒー喚きながら敗退させられるシーンが笑える。

クライマックスに入ると、強迫観念と誇大妄想に取り憑かれた兄が、脳内をオーバーヒートさせてしまう。とりわけ、振り子時計の音と棺桶への釘打ちをシンクロさせながら、ピリピリとした神経衰弱の状態を演出させていく手法が素晴らしい。
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