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中島みゆき 夜会VOL.20「リトル・トーキョー」劇場版のmasayaのレビュー・感想・評価

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かつてのスタイルを取り戻したような既発曲多数の夜会最新作。耳馴染みのある曲はどんな時も一緒に乗り越えてきた同志のように心地よい。嬉しくも何故か切なく感じた「小さな場所、嘘の場所、帰る場所」リトル・トーキョー。

既発の曲は歌い手を変えアレンジを変え、リトル・トーキョーのステージ上で歌われる。時の流れに、人の悪意に、自然の酷い摂理に傷つけられても、たくさんの人の帰る場所としてそのステージは残る。たとえ、作り上げた彼女が去っても。

彼女の去り際に言った言葉は、残された人々には聞こえない。シリーズ中でも特に明るい歌や笑い、軽やかなダンスに彩られた物語の終わりにしてはとても寂しく感じられた。彼女の物語の終わり。
もし自分がリトル・トーキョーのステージで歌えるなら、あの場面で「永遠の嘘をついてくれ」を歌いたかった。

昨年の公演なので意図されたものではないにせよ、最近「ワンダーウォール」や「劇場」で感じたような、今危機に瀕している小さな個人の居場所を思わない訳にはいかなかった。時代性を意識して作る訳でなく、時代の方が彼女の作品に投影されていくのは、これはどうしても天性というしかない。

8月公開の彼女の曲を原案にした映画も、その曲自体もまた一つのリトルトーキョーとして、彼女が仕立てた帰る場所、居場所なんだって理解した。
理解はしたけど認めたくないな。ラストツアーの件といい、彼女はなんでそんなにみんなの前から去ろう去ろうとしているんだろう。そんなの寂しい。

曲目、懐かしの曲は6曲+二隻の舟。新曲では繰り返し歌われたリトル・トーキョー。第二幕では出演者たちと一緒にみゆきさんが踊る。結構凝った振付をかっこよく。もう一曲、放生(ほうじょう)って曲、三十年近くファンやってきて初めて聴くような、地上の星とか目じゃない迫力の低音ボイス。

ストーリーとか演出はなんだろう?いつものみゆきワールドw私は御大の声とメッセージを受け取れればそれで良いです。出演者で凄かったのが姉役の渡辺真知子さん(迷い道くねくねの人)流石の歌唱力で支える。
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