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マグノリアのhoshのレビュー・感想・評価

マグノリア(1999年製作の映画)
3.9
初PTA監督作品。非常にクセが強い強烈な映画体験だった。好きか嫌いかなら間違いなく好きな作品だが、どう受け止めたらいいのか困惑しているのも事実。半日たっても余韻が残っているし、難解な部分も込の噛みごたえが凄い。
優しい映画と言い切るにはあまりに辛口で、ヘンテコだがこの作品しか持ちえない強烈な雰囲気と魅力を湛えていると思う。

9人も主要人物がいて、180分を超える作品にも関わらず一切混乱させず、独創的なカットやカメラワークで画面に釘付けにするPTA監督の演出力と語り口が凄まじい。
特に中盤までのクイズ番組と各人物の行動をミニマムなBGMと編集のテンポだけで並行して魅せていく場面の緊迫感とドライブ感とワクワク感たるや尋常ではなかった。トイレはトラウマだが…

各人物それぞれが抱える痛みや孤独どれも奇天烈で、ハッキリ言ってヘンだ。だが、その中に愛や後悔、許しといった普遍的な感情が宿されているので非常に混乱した。自分の心にあるようでない、ないようである部分を突かれる感覚というか。全てを壊すような雨のアレには驚かされたし、ラストのクローディアの表情にはやられた。

あと助演のトム・クルーズの素晴らしさね。イーサン・ハントみたいな超人にすら感情移入させる、あの圧倒的な目力と人間味ある表情の演技が今作では最高の形で活きていたのでは?
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