Kuuta

宇宙大戦争のKuutaのレビュー・感想・評価

宇宙大戦争(1959年製作の映画)
3.5
最大の魅力は宇宙大戦争マーチだろう。

吉志舞→初代ゴジラのフリゲートマーチ→今作→怪獣大戦争マーチと、伊福部昭は楽曲をブラッシュアップさせてきた。その中でもダントツでテンポが速い(というか完全に走ってる)上に、勢い重視でトランペットの音がひっくり返っているのが今作。

異様なテンションとへっぽこ感が両立したこの不思議な音楽をバックに、大量の光線が飛び交い、飛行機やUFOが爆発を繰り返す。この映画でしか味わえないアッパーな多幸感がある。

(シンゴジラのヤシオリ作戦で流れているのがこれ。新録も行われたが、劇中では今作の音源が採用された。この曲はやっぱり特別)

・「レーダー反応!航路線上、距離600キロ!」。戦闘時のやり取りは基本こんな感じで、庵野作品を見ているよう。ロケット内の席順はノーチラス号だし、地球と対比される月は死の世界だし。

・逃げる宇宙人スパイを、警察だけでなく会議に出ていた教授たちも一緒に走って追う絵面がちょっとかわいい。後半、月の無重力を表現するため、各々が自分なりにふんわりスキップしてるのも良かった。

・主観視点で探査艇が低空飛行する場面、シンゴジラの偵察機が撃墜されるシーンそのまんま

・出撃するパイロットを見送るシーンいいなぁ。万歳を繰り返す兵士、紙吹雪、紙テープが飛び交い、アメリカ人パイロットは家族とハグしてお別れ。映ってる人の数も多いし、画面が賑やかですげー平和。

・当たり前に国際会議は日本で行われ、世界最高の頭脳も日本に集まる。当時はまだ、科学立国として日本が世界の中心になりうると、希望を持って言えたんだろうなぁと切なくなる。円形の会議の様子を360°回転して撮影し、地球は一つと示していく。70点。
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