TAK44マグナム

Shadowed(原題)のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

Shadowed(原題)(2020年製作の映画)
3.8
※面白くて怖いホラーですが、3分強の尺ですので、先にYouTubeでご覧になってからお読みくださった方が新鮮な気持ちで怖がれると思います。







ライト/オフ」や「シャザム!」で知られるデヴィッド・F・サンドバーグ監督が、新型コロナウィルス蔓延による外出自粛で何もすることがなくなってしまった為、奥さんで女優のロッタ・ロステンとの愛の共同作業によってサクッと撮ったらメチャ怖いホラー短編が出来上がってしまった!
それが本作、「SHADOWED」であります。
小型の4Kカメラと無料のPCソフトでポイッと作っちゃうんだから、さすが監督。
というか、たった3分なのに十分すぎるほどに怖がらせてくれます。
「ライト/オフ」が、やはり短編製作から始まったように、監督はワンアイデアでビシッとビビらせるのも得意なんですな。
しかも本作は、灯りを消したら化け物が見えるという「ライト/オフ」にもつながる作品とのこと。
なるほど、こちらは灯りをつけると、「光さすことによって存在するもの=影」が見えるようになる。
ただしその影の、本来なら本体にあたるモノは見えない!
つまり、影だけが自我をもっているとしたらどうしましょう?という、とっても背筋が凍るお話なのであります。

奥さんの熱演もあって、古典的なジャンプスケア(大きな音などで脅かす手法)も威力倍増。
そこへもって、突然の停電の中を灯りを向けると、そこにはあるはずのない影が見える不可思議さ。
しかし、その影が明らかな悪意をもっていたとしたら呑気に不思議がっている場合じゃないのです。
ただでさえ人は暗闇が苦手。
手探りの世界で灯りは何よりも希望のはず。
それなのに、灯りが恐ろしい影を実体化させてしまうとは、これ以上の絶望があるでしょうか。

実は普段見えていないだけの存在が何かの拍子に見えるようになってしまうというのは幽霊モノの怖さの根源ですけれど、それを見えているのに特に意識することなくスルーしていた「影」に置き換えると、ただ黒いだけの影が醜悪な怪物以上に恐ろしく感じたのが新鮮。
きっと、デヴィッド・F・サンドバーグのセンスの賜物なのでしょうね。

これをSF活劇にしたら「ウルトラセブン」でも使えそうなネタだし、湿り気を加えると黒沢清の「回路」みたいになるのかな?などと思いました。

それにしても、クリエイターというのは素晴らしい仕事ですね。
ただ閉じこもることなく、文化を発信してくれる。
もしかしたら、この閉鎖的な状況から数多くの優れた作品が生み出されるかもしれませんね。


YouTubeにて