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とっととくたばれのkuuのレビュー・感想・評価

とっととくたばれ(2018年製作の映画)
3.8
『とっととくたばれ』 
原題 Papa, sdokhni/Why Don't You Just Die!.
映倫区分 PG12.
製作年 2018年。上映時間 100分。
青年と悪徳刑事とその娘が繰り広げる壮絶なバトルを、ブラックユーモアを散りばめながら容赦ないゴア描写とポップでスタイリッシュな映像で描いたバイオレンススリラー。
(今作品の邦題に限っては上手い!!座布団三枚山田くん)

とあるアパートを舞台に、恋人の父親の殺害を決意した青年、そう簡単に殺されそうにない筋金入りの悪徳刑事、そんな父親に復讐心を抱く娘という3人の殺意が激突し、血みどろの死闘へとなだれ込んでいく。ロシアの新鋭キリル・ソコロフの長編デビュー作。

※嘘臭い血しぶきながら、血の飛び散り、血糊ベタベタとしたシーンや、残虐なシーンがありますし、
グロ表現NO!の方はご注意を。

ドナルド・トランプの心臓よりもブラックで、それでいて彼にないユーモアと、プーチンの間違ったレパートリーのようなぞっとするほど過剰な表現で、ホンマ視覚的にチクチク刺激的な作品でした。
ホンマしつこくて、遊び心があり疾走するほどグロく、今じゃ死語的な極悪非道。
大胆に血を流すスリラーは、絶望の鋭さを示す無煙火薬のような息吹のよう。
内容は薄いが容赦なく、乾いたガラス張りの何かに歩くように、痺れるほどの悲痛な残虐性、ホンでもっての、不道徳で犯罪を計算し尽くした核心にある邪悪に歪んだ謎を持ち、今作品は終始、殺人的な悪癖のような支配力を維持していた。
今作品の基本は、イカれたな二枚舌、ストレートな欲、昔ながらの野蛮さが、痛ましい。
主人公の兄ちゃんだけはある意味純粋かな。
今作品はロシアの市民の末端に、ねじれた背徳の物語が此処彼処に描かれてる。
表向きは、彼の下品で妙に魅力を持つ気の強いガールフレンドのオリャ(エフゲニヤ・クレグジデ)に、彼女の残忍でだらしないポリスの父アンドレイ(ヴィタリー・ハーエフ)を殺すよう依頼され、その後まもなく勇敢な若きマットベイ(アレキサンドル・クズネツォフ)は、運命的に最初の正義の鉄槌を下すことになるのだが(実際トンカチもって行動する)。
その結果、残忍な銃声、獰猛な肉弾戦、騒々しいほどの銃弾、骨を砕くような鮮やかさなど、奇妙なほど啓発的な神話に到達する。
今作品が単なる陰惨なコメディではないことを個人的には思うかな。
もちろん、辛辣で殺伐としたユーモアがあり、血しぶきの多くはバレエのようで、しばしば楽しいエネルギーを持っている。
しかし、エネルギーがキーワードであり、演出、撮影、手抜きの多い監督がカットするところを置き換える珍しいカメラの動き、感染力のあるサウンドトラック、謎を的確に解き明かす脚本とか、今作品は非常にユニークでエネルギッシュなスタイルを持っていると感じた。
スリリングでグロテスクではあるが、素晴らしい演技と、ロシア社会における腐敗、つまり組織や友人、家族をいかに蝕んでいくかを解き明かす痛烈な脚本に裏打ちされている面白い作品でした。
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