叡福寺清子

とっととくたばれの叡福寺清子のネタバレレビュー・内容・結末

とっととくたばれ(2018年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

作品の出来不出来の高低差で毎年10人近くが,高山病を発症すると言われているロシア映画界.本作は良い方のロシアで一安心な三遊亭呼延灼です.こんばんわ.
まさに,『68キル』の名台詞「お金に血は付きものよ』を体現した本作.OPもそこそこにヴァイオレンスの嵐が吹き荒れて,終盤になりますと暴力の方は控えめになりますが,その代わりに血の量が増えてるというお好きな方にはたまらない一品となっております.

ショートカット美人のオーリャさんとお付き合いしているマトヴァイ青年.ある日,オーリャさんから父親のアンドレイを殺してほしいと依頼されます.なんでも12歳から性的暴行を受けており,これ以上堪えられないと・・・べた惚れマトヴァイ君は実行に移すべく,金槌を持ってアンドレイさんの自宅を訪ねますが・・・

物語の中心に大金という要石がどっしりかまえており,それを取り巻く欲深き人物を描いていてブレがございません.大金を目前にしては長年の親友親交も親子の情愛も,塵芥を捨て去るがごとく,とはマコトに人間らしい所業で呼延灼は嬉ションしそうになってしまいました.
嬉ションといえば原題の『Papa, sdokhni』はGoogle翻訳だと『お父さん、行ってください』になるそうですけど,本作においては「逝ってよし」な感じなのでしょう.それを作風に合わせて,『とっととくたばれ』と意訳した方には大いなる称賛を捧げたいと存じます.できれば,サラミ一年分をお送りいたしますのでご一報くだされ.もっとも,アンドレイさんにしてみりゃ,マトヴァイ君に『とっととくたばれ』と唾を吐きながら罵りたかった事でしょう.
あとたぶん,マトヴァイ君すっごい遅漏な気がするの.