櫻イミト

秋のドイツの櫻イミトのレビュー・感想・評価

秋のドイツ(1978年製作の映画)
4.0
当時すでに巨匠だったファスビンダー監督が全裸で登場し、自宅の部屋で自分の性器を触りながら泣く。言葉通り丸裸のドイツ国民として、戦後ドイツの政治・社会・思想と向き合う姿勢を提示している。その覚悟はフィルムを通して、ドイツと同じくファシズム国家だった日本の自分に刺さってくる。

1977年10月のドイツ赤軍派による連続テロ事件と、それに伴うヒステリックな思想言論弾圧に呼応して、“ニュー・ジャーマン・シネマ”世代の九人の監督がそれぞれのエピソードを持ち寄ったオムニバス映画。当時のパンフレットに全シナリオが採録されている。

ファスビンダー監督は本作に参加した直後から「マリアブラウンの結婚」(1979)に着手し、続いて「ローラ」(1981)、「リリー・マルレーン」(1981)と、戦後西ドイツ史を総括していくことになる。
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