アニマル泉

La France contre les robots(原題)のアニマル泉のレビュー・感想・評価

5.0
ストローブの最新作。2020年にネットで配信された10分のデジタル作品である。冒頭、ジャン=リュックに捧げると表示される。ゴダールのことだろうか?湖をバックにストローブの後期のカメラマンであるクリストフ・クラヴェールが歩くのを斜め後ろから手持ちで追いかける。顔は最後まで映らない。やがてクラヴェールが暗唱を始める。ジョルジュ・ベルナノスの「ロボットに対抗するフランス」の暗唱である。ベルナノスはブレッソンの「田舎司祭の日記」「少女ムシェット」の作者である。「革命は断絶であり絶対である。計画経済的な革命はありえない」「システムは自己修正出来ない」「イギリスもアメリカもロシアも、全ての体制はシステムで富と権力を得た。今もそれを守ろうとしている」「イギリス、アメリカ、ロシア、イデオロギーで対立していた体制どうしが今や技術で緊密に結びついている」「技術が勝利すれば自由は敗北する」クラヴェールは暗唱終わりで湖に出て足を止める。夕暮れのマジックアワーのワンカットで描かれる。再びタイトルバック。ジャン=リュックに捧げると表示される。今度は朝だ。全く同じことが反復される。2回目のラストに絶妙なタイミングでアヒルがフレームインする。つくづくストローブらしい。テキストの朗読、バックショット、ワンカット、反復、真なる革命へのアジテーション。ゴダールと並ぶ永遠の闘士である。
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