WOWOW録画鑑賞
【ワールド・シネマ・セレクション】
”…でもママが耐えるなら…
人生の苦しみに…
僕も耐えられると思う…"
〜ジェイミー
熟年離婚の危機に直面した老夫婦と両親の不和に思い悩む息子が織りなす悲喜劇を実力派演技人の共演で味わい深く描いた秀作。
原題 『Hope Gap』
2019年英作品
監督・脚本 ウィリアム・ニコルソン
原作 ウィリアム・ニコルソン 戯曲『The Retreat from Moscow』(1999)
音楽 アレックス・ヘッフェス
撮影 アナ・ヴァルデス・ハンクス
出演 アネット・ベニング ビル・ナイ ジョシュ・オコナー アイーシャ・ハート ライアン・マッケン
翻訳者 川喜田綾子
(WOWOW番組内容より)
イングランドのイースト・サセックス地方、南部にある町シーフォード。
この海辺の町の付近では、崖下にホープ・ギャップと呼ばれる美しい入り江が広がっている。
この地で暮らすエドワード(ナイ)とグレース(ベニング)は、間もなく結婚29周年を迎える熟年夫婦。
無口でおとなしい性格のエドワードは、強引なところのある妻の言い分を長年黙って受け入れてきたが、息子のジェイミー(オコナー)が久々に帰省したある日、ついにグレースに別れを告げると、家を出て行ってしまう。
思いもよらぬ事態にグレースは動転して怒りを爆発させ、ジェイミーは彼女をなだめるのに苦労するはめに。
そんな母を支えるジェイミーも、自分自身の生き方や人間関係を見つめ直していく……。
『グラディエーター』(2000)、『ブレス しあわせの呼吸」(2017)などの脚本家ウィリアム・ニコルソンが、両親との実体験を基に監督・脚本を手がけた人間ドラマ。
1999年に初演されたニコルソンの戯曲『The Retreat from Moscow』を原作とする。
熟年離婚をテーマに夫婦と息子それぞれの想いを描くドラマ。
アネット・ベニングとビル・ナイ演じるグレースとエドワード夫婦役2人の演技がとてもイイ!
最初、グレースの言葉が威圧的、高圧的に感じ、エドワードが長年抑圧されている様に描写され、夫の方に肩入れして観てしまうが、中盤以降グレースの想いや感情も理解でき、そして息子ジェイミー(ジョシュ・オコナー)が板挟みとなり両親の間を奔走する。性格的には父親似の彼もプライベートではある悩みを抱えている…
以下、ネタバレあり
途中まで、エドワードの一人芝居で1人になりたかったのかも?
そして、息子の活躍で元サヤに戻るんでしょ⁈
とか想像していたが、外れました〜。
シリアスな展開が多く、笑えるシーンもあるが弱め。
もう少し、笑えるシーンがあった方が良かったかも。
また、邦題がほのぼの印象を与えるが、もっとビターな展開だ。
エドワードが家を出てから、怒りと悲しみを癒すため犬を飼い出したグレースが付けた名前が笑える!
けど、ブラックすぎる…
そして、弁護士事務所での離婚書類にサインするシーン。
犬のしつけの様にエドワードを恫喝する場面は笑う‼️
印象に残ったセリフ
・グレースが不意にエドワードがいるアンジェラ宅を訪れるところはサスペンス!
跳び上がって驚くエドワード‼️
・”不幸な人間が3人いた…
今は1人だけよ…"
不意打ちに対するアンジェラの反撃。
・グレースがエドワードに向けた最後の言葉がジーンとくる。
“出会わなければ良かった…
愛さずに済めば良かった…
でも愛していた…"
・イギリス南部の海岸の風景が美しく、原題の“ホープ・ギャップ" という名の入江が最初と最後のシーンで印象が違って見えた。
グレースやジェイミー親子にとって思い出深い場所、ドーバー海岸と同じ切り立った白い崖、崖の上の白い地面の風景描写も印象深い。
母と息子の邂逅。
それぞれの抱えた想いを吐露する。
”…でもママが耐えるなら…
人生の苦しみに…
僕も耐えられると思う…"
・ジェイミーから父母それぞれに宛てたメールが響く。彼も両親もそれぞれ成長していく…
音楽は、アレックス・ヘッフェス。
ピアノの静かな旋律の劇伴も良い。
それぞれが前向きに進もうとする未来に、じんわり、爽やかな余韻が残る良作でした‼️
【忘備録】
キャスト
グレース Grace
アネット・ベニング
エドワード Edward
ビル・ナイ
ジェイミー Jamie
ジョシュ・オコナー
ジェス Jess
アイーシャ・ハート
デヴ Dev
ライアン・マッケン
事務弁護士 Peter Widdecombe
スティーヴン・ペイシー
ゲイリー Gary
ニコラス・バーンズ
受付:
ローズ・キーガン
司祭:
ニコラス・ブレイン
アンジェラ Angela
サリー・ロジャース