邦題の印象から、「家族の絆」をストレートに歌い上げる、ありがちなタイプの映画かと予測して、あんまり気が進まなかったのだけれど、観てみたらそんな単純なドラマではなくて、英国映画なめてました、すみません。
個人的には、今年の上半期でベストだったかもしれない。
ただ、「個人的に」と言ったのは、この映画は観る人を選ぶ作品だろうから。それは単なる「好み」とか、「シネフィル向け」とかいうことではなく、年齢やライフステージによって、評価がけっこう異なりそうだなというという意味で。
僕は最初は、どこに感情移入して観る映画なのか分からなくて戸惑ったんだけれど、それは作家の企みだったんだと思う。そして（観終わったあとには）その「企み」は成功していたと感じた。
ただこれ、邦題が良くないよなあ。そのまんま原題の「ホープ・ギャップ」でもむしろイメージを喚起したと思うし、意訳するなら「希望の崖」とかの方が、まだこの映画の核を伝えてたんではないかなあ。
そして、その「ホープギャップ（舞台となる土地にある入り江）」の映像も、素晴らしかった。惜しむらくは、ドローンを使った映像がちょっと多用され過ぎな感があって、情景の描写としてはわかるんだけど、もうちょっと抑制的に使われた方が、僕の好みには合ってたけれども。
あと、ついでに言うとご夫婦やカップルでの鑑賞には向かないと思いますんで、ご覧になる際は「ソロ（おひとり）」をおすすめします。
